出なければ、いい。

中年なので、人間ドックというのに行ってきた。実は一週間前から憂いていることがあって、というのは、ウンコの事なんだけれど、最近、ウンコがあんまし出ないので検便がきちんと2日分取れるかどうか、ということがほんと心配で、心配で。一週間前から採便セットを鞄に入れて持ち歩くなど、つねに準備をして臨んでいたのだけれど、月曜日、火曜日のあたりは、なんとなくまだ油断していて、つい、ツルッとウンコをしてしまって、採り忘れてしまったのね。さすがに水曜くらいから焦りはじめて、結局、木曜に一回採れたのを最後に、検診当日を迎えてしまった。

こんなことは初めてなので、一体自分はどうなるのだろうか。と不安になり、「検便 2日 とれない」でググった。ある人は、受付で封筒を渡され、郵送するように言われたという。郵送…ウンコをポストに。ポストから集配された郵便物はたしか、中央郵便局に集められるんだったな。そして、郵便番号で行き先を仕分けするハイテク機械にかけられて、マッハの速さで宙を飛んで、それぞれの郵便番号のボックスに仕分けられるのだったな。小学校のときに見学に行った中央郵便局の様子を思い出して、まさか自分のウンコが宙を飛ぶことになるなんて…なんかすげーな。

さて、病院に行って、受付のお姉さんに、ウンコ一日分しか採れなかったんですけど…正直に申し出て、封筒を手渡されるのを待っていたら、お姉さんは、私の心を見透かしたように「うち、郵送やってないんで、今日出れば直接持ってきていただきたいんですけれど」と言った。えっ、今日…ですか?そして、お姉さんは「出なければ、いいです」と言った。出なければ、いい。なんかすごい肯定感のある言葉だな、と思った。出なければ、いい。

結局検便の2日分というのは、別に2日分もいらないということなのだろう。1日分でも充分検査はできるけれども、念のためのバックアップとして、もう1日分を採らされているのではないか、と。それを知って、金曜の朝、一瞬、肛門に直接採便の道具を突っ込んでまで採るべきだろうか、と思い悩んだ自分に、早まらなくてよかったネ。と言いたい。