もじ

町田まで、尾辻克彦×赤瀬川原平 文学と美術の多面体展を見に行った。町田に行くのは10年ぶりくらいだった。記憶と違って大都会でびびった。さて、展覧会はニラハウスとか千円札裁判に関するものとか展示されていたんだけれど、やはり、おお、と思ったのが、父が消えた、という小説の生原稿だった。びっくりするくらいに文字が細かい。ノート横罫を縦に使って、そこに小さな文字でびーっしり、である。所々修正したりしているものの、一枚の紙としてすごく整っていて、なんとなく味があって、すごいいいな、と思った。もうひとつ、すごいないいな、と思ったのが、ハグ2、というタイトルの作品で、解説によると市販の椅子を買ってしまって、でもなんだか気に入らなかったらしく、鉈で表面を削り取った、というものらしい。一皮むけて白っぽくなった椅子は表面がボコボコ彫られたままになっていたが、それがとてもよかったのだ。

会場は町田市民文学館というところで、一階では、まほろ駅前の映画の公開記念で、映画の台本や小道具などが展示されていて、その中に三浦しをん先生の手書きの原稿もあり、それがとてものびのびした、大きくて立派な文字だったのも、なんかよかった。