師とあおぐ

実家で時間を持て余し、ならば、と思って本棚にあった、もものかんづめ、を読んだ。91年ごろに出た、さくらももこのエッセイである。さくらももこは相変わらず面白かった。小学校高学年から中学生、高校生にかけて、私はさくらももこになりたいと思っていた。だから、20年ぶりに読んだにも関わらず、文章のちょっとした言い回しを覚えていたり、私が普段使っている言葉の元ネタはそういえばこれだったとか、当時とは違った楽しみ方もできた。そして、今や中年となった私が読みながら、あぁ…と思ったくだりは、当時の旦那さんとのエピソードで、色気がない、と怒られたが色々反論して最後に屁をこいてやった。というエピソード、これはもものかんづめの続編、さるのこしかけに収録されているエピソードであるが、その後の夫婦がどうなったかを知る立場から読むと、むぬぬ…と腹から息がもれてくる。さくら先生の熱心な読者であった私も、かつて結婚していた時に、夫だった人から、色気がない、と怒られたことがあった。屁こそこかなかったけれど、同じような結末、他に女がいたり、を迎えたりしたので、一層、腹の底から声にならない息がもれた。