帰り道である。終電である。

終電のシート、向かいに座った若い女子が、鏡をみながら、何度も何度も髪を直し、角度を変え、髪を直していた。

おいおい、これから誰に会うでもないでしょうに帰るだけでしょうよ、と思ったけれど、そんなのは私だけであり、若女子はこれから誰かに会うのかもしれない。あるいは誰かに会うこともないにしても、髪の乱れていることで自分の気持ちが収まらない、許せなかったのかもしれない。

私はとても考えが狭い。