ブラジルのおっさん

私の名前は、スペイン語とかポルトガル語の人からしたらとても覚えやすいようで、さて今日も観光に行こう、と道を歩いていたら、通りの向こうから「テクーコ!」と私の名前を呼ぶおっさんがおり、何かと思ったら、先日、宿近くの安食堂で隣になったおっさんだった。おっさんはポルトガル語しかできないので、そして私はポルトガル語ができないので、互いにオウオウ言いながら、身振り手振りや英単語で会話した。私はこの日、セントロという地区に行くのにバスに乗ろうと思っていたので、おっさんにちょうどいいバスはないか聞きたかったが、おっさんはサブウェイ!と言うので、いや地下鉄で行けるのは知ってるけどバスで行ってみたかったんだよね…と思いながら、それでもおっさんがサブウェイ!と言うので、そして、こっちだ、と、駅まで案内してくれるので断るのも悪いように思い、おっさんと並んで、オウオウ言いながら、身振り手振りと英単語で会話しながら、地下鉄の駅まで送ってもらった。おっさんには、またあの店でビール飲もうぜ、と言いたかったがなにしろ言葉がアレだったので仕方ない、店の方を指さして、セルベージャ!セルベージャ!(ビールの意)と言ってみたが、そんなの伝わるわけないよね、おっさんは、よくわからん、という顔をして、そして最後に握手して私の手の甲にぶっちゅう、とキスをして、手を振って去っていった。