教習所 17日目
やはり週末の朝は車も人も少ないので、とても走りやすい。こういう道をずっと走っていたいと思った。
しかし、人生良い時ばかりではなく、悪い時や冴えない時の方が多いわけで、そういう時にもしっかり走れる力を身につけなければいけない。例えば、夜の雨道など。予約の時間帯を変えた方がいいのかな。
この日は3コマ乗車した。ちょこちょこ注意されながら(ウインカーを出すのが早い、進路変更後にウインカーを消し忘れる等)おだやかな教習が続き、よい週末だなぁとおだやかな気持ちでT字路を右折するとき、左から車が来たんでビビって止まってしまった。で、教官に、なんで止まるの!と言われて、ぎゃっと右にハンドル切ったら横断歩道に歩行者がいて、一人だったら確実に事故ってるところだった。こわい。
教習所 16日目
いつもは夕方や夜の教習だが、今日は朝から路上。週末だから人も少ない。なんていうか、道が広々、アスファルトも光って見える。
小さな車を一台買って、郊外の古い団地に猫と暮らすのもいいな。
そんなことを考えながら運転していたら、教官にブレーキを踏まれた。左折と言ったのになぜ通り過ぎようとするのか。すいません、忘れてました。
一人暮らしの長さと、在宅勤務で一人過ごす時間が長くなったせいか、考えが自分の中で完結する傾向が強くなった。もちろん教官に言われて、左折しようとは思ったんだけど、そこまで本気で左折したいと思えなかったんだなぁ、左折しなくてもいいかなぁ、でまっすぐ進んでしまったんだなぁ。でもこういうの、歳をとって我儘になっていくのと変わらないですよね、というか、まさにそれですよね、と思って反省した。まだ40半ば、まだまだ人の中で生きていかねばならない。
進路変更は前回の反省を生かして少しは思い切っていけるようになったがまだ自信がない。
あと交差点で右折する時、どこまで出ていいか、私ごときがこんなにでしゃばっていいんですか?という気持ちになる。左折を繰り返せば右折になるけれど、そうとばかり言っていられない。
教習所 15日目
子供の頃から大縄跳びが苦手だった。タイミングをはかって輪の中に入る類の、今だったらリモート会議で発言するのも物凄く勇気が必要で、なんだったら発言せずに済ませたい。自分と社会とのしっくりいかなさ、みたいなことを、路上教習の車線変更で痛感した。
次の角を右折するので、右に車線変更しなければいけない。けれども右の流れにうまく乗れない。ウインカーを出しているから、右後方の車はスピードを落としてくれているのに、それに気づかず、さらに右ばかり伺って前方確認がおそろかになっている引け目から自分までスピードを落としてしまって、結局チャンスを掴めない。後続車にはイラつかれているし…今までは運動神経やリズム感の無さが原因なんだとやり過ごしていたけど、突き詰めると、自分の自意識の問題なんだよこれはきっと…と中年だから気づいてしまった、もっと若ければ気づかなかったかもしれない問題にひどく落ち込んでしまって、帰り道、サイゼリヤで白ワインをデキャンタ二杯飲みました。そして夜中に吐きました。
何の気負いもなく車線変更できる人間になりたい。
教習所 14日目
免許の講習には応急救護というのがあって、3時間続けて講習を受ける。9時からの枠が取れたので、休みにも関わらず早起きして、教習所に行った。
教官が授業の最初に、少しでも居眠りしてたら授業取り直しだからな、と言うので緊張して臨んだ。
ところが、最初の1時間、講師のプライベートの話(健康状態や、住んでいる場所から最寄駅への交通手段、職場でいかに自分が頼りにされているか等自慢)で終わった。2時間目、応急救護のビデオを見てから講師のプライベート話を聞き、止血の方法を習った。いよいよ最後、3時間目、心臓マッサージと気道確保を行った。そして講師の趣味の話を聞いた。
一体何だったのだろうか。週末なのに6時半起きした私の時間を返してほしい、と思った。そして、この程度の授業内容で居眠りするなとは何様のつもりだ、と思った。あとで絶対投書してやる。おとなしく座っていたのでハンコはもらえた。
教習所 13日目
ついに路上に出る。
仮免を取って最初の実技。最初は車の前の部分を開けて、エンジンオイルやブレーキ液などの説明を受けた。いろいろありすぎて覚えていないが、みんな車のボンネットの中に軍手とボロ布を入れて走っていること、また、窓をブシャーって洗う水、あれは各自で補充しているのだと聞いて驚いた。また、友人の意外な一面を知ってしまった気分だ。
さていよいよ路上に出ると、夕方で真っ暗で、あちこちから現れる自転車、歩行者が恐ろしい。車通りの少ない道で教官と運転を交代。アクセルを踏むと、車はさーっと走り出して、あっという間に50キロくらい出た。教習所では30キロ出すのも恐る恐るだったのに。本物の交差点、対向車、後ろからの車、トラック、そして突如現れる自転車。私は今、道路を走っているなぁ、と思った。そして、道路を走りながら、意外としっくり来てるぞ、と思った。20分弱の走行だったけれど楽しかった。
路上教習という初めての経験に引き続き、原付教習を受けた。原付は自転車に乗れないと乗れないと言われた。よかった、乗れる。一緒に教習を受けた女子が、中学生以来自転車に乗ってない、と言うので大丈夫かな?って心配したけど、彼女の中学時代は3年前とのことでした。3年前かぁ。さて、原付に乗れれば配達のバイトとかできるようになるし、将来台湾で暮らすときにも便利だなぁと思って期待していたが、原付は恐ろしい乗り物だった。右手をちょっと回すだけでグイーンと加速して、下手したら体が置いていかれる。教習所内のコースを周った。1周目は加速の具合が分からず、ガクガクしながら走った。2、3周目は怖いながらも一瞬だけ風になった…そして教習は終わった。原付、もう二度と乗らないだろうと思う。でももっと練習したら走れるようになるんだろうか。配達のバイトや台湾のこともあるし。練習場があるなら何回か通いたいかもしれない。
教習所 12日目
仕事を休んで、仮免の試験に行った。
絶対にうまくいくはずがないので、朝から目を瞑ってはコースを思い返し、進路変更や坂道、クランクに想いを馳せた。進路変更で必ず確認を忘れる。
本日はまず実技を行い、合格した人だけ学科試験を受ける。合格発表は後日、という流れ。ちょっと早めに教習所についた。緊張しているから。
先日のでんでん似の教官から試験の説明を受ける。教習車には2人が乗り込む。運転する1人、後部座席にもう1人。助手席には教官。初めて他人(初心者)の運転する車に乗って思ったのは、運転…下手ですね!ということで、私も相当下手だけど、この、私の娘でもおかしくない年頃の女性の運転、すごくノロノロしてるし、進路変更も確認をちゃんとしてないし、ていうかさっきから車曲がってない?みたいなことを大人気なくて恐縮ですが、思い、下手くそは自分だけじゃない!とのびのびした気持ちになった。
そして私の番。
あーごめんごめん、もっと下手だったわ。これまでの練習のダメなところが全部出た感じで、車は常にカクついていた。それでもS字やクランクにはなんとかクリア。坂も登れた。しかし進路変更のとき、一応、バックミラー、横のミラー、目視の流れを形としては行ったが、それはそういう振り付けだからそのように動いただけで、実は何も見えてはいなかった。
わかってはいたけど、暗い気持ちで結果を待った。他の受験者は学科試験に向けてテキストをおさらいしているけれど、私はラーメンでも食べて帰ろうと近くのラーメン屋を検索していた。
そして、なぜだか受かってしまった。実技合格。私より上手い下手な女性も合格していた。
学科試験を受けて、ラーメンを食べて帰りました。結果は数日後。